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危機一髪(水攻めの巻) 

 前回の三菱重工爆破事件(昭和49年8月30日)の翌日土曜日は会社が休みで天気は雨だった。僕は狛江市にあった会社の独身寮のロビーでテレビを見ていた。テレビには丸の内中通りで証拠集めのために機動隊を動員している姿が映し出されている。この時点ではぼんやりと爆破事件らしいということしか分からなかった。

 夕方、近所が騒がしくなってきた。消防自動車のサイレンが近くで鳴り響いている。多摩川沿いの住宅に異変が起きたらしい。僕の居た独身寮は多摩川の土手から40メートルくらいしか離れていないところに建っていた。

 東京の雨量はたいしたことはなかったが、上流で降った雨が1~2日遅れでこの付近まで達し水嵩を増していた。農業用水のための取水堰が水の流れを妨げ、濁流が狛江側の土手を削り、土手の崩壊が徐々に始まった。消防団は蛇篭を積み上げ崩壊を食い止めようとしたが、水の力にはとうてい及ばない。土手が崩れると次いで住宅の土地も削られ、サーチライトに照らされた中、住宅が傾いて次々と多摩川に流されていった。たくさんのカメラのフラッシュが光り、住宅の原形をとどめたまま二階建ての家が流れていくのを日本中の人がテレビで見ていた。

 付近は避難命令が出され、夜になって僕たちは近くの小学校に非難することになった。避難風景がテレビで放映されたらしく、夜半に人事担当者が飛んできて憮然としてみっともないと言った。若い者(僕らのことだ!)が何十人も避難しているところがテレビに映ったらしい。

 翌日の9月1日は日曜日で快晴だったが、水量はあまり下がらない。午前中も住宅が流されたようだった。政府は自衛隊に要請して取水堰の爆破を試みることになった。ヘリコプターで取水堰にダイナマイトを仕掛けて、周辺の立ち入りを禁止しお昼頃爆発させたが、表面を少しだけ削っておしまいという情けない結果だった。この水害では全部で19棟の住宅が流された。流された家以外は殆ど被害がないという極めて局所的な「大水害」だった。

 後にこの事件は山田太一により八千草薫と竹脇無我が不倫するテレビドラマ「岸辺のアルバム」の舞台に使われた。当時水害と不倫の組み合わせは僕にはとても思い至らない、家の崩壊と家族の崩壊のアナロジーと言うことらしい。
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[2008/10/21 13:37] 未分類 | TB(0) | CM(0)

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